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銀座の一等地で光り続ける”おもてなし”の心
~コロナ禍でリアルの価値を伝えること、小売業界の使命~

(左からSAKEDRESS 森氏・銀座和光の元会長 安達辰彦氏)

日本文化を信じ,新たな価値を創造する一流たちの情(こころ)を発信し、さらなる『日本文化の発展に貢献したい』との想いで立ち上がったTHE SAKEDRESS STORIES or STORY

銀座を象徴するシンボル、銀座和光の元会長。1975年から銀座三越で14年間過ごし、2013年の6月より銀座和光の社長に転身する。

SAKEDRESS 創業者 森(以下 森):
先ほどはSAKEDRESSを飲んでいただきありがとうございました。
安達さんからのご感想をお聞かせいただきたいです。

安達氏:
すっきりした味わいの中にも深みを感じ、フルーティーさも加わり、ゆっくり食事を楽しむ時に良いと感じました。最近は女性にも日本酒が支持されている、と聞いていますがピッタリなのかなと思います。

和にも洋の食事にも合うように、ワインの感覚で飲んで貰いたい、との話を伺いましたがそんな感じのお酒だと感じました。販売価格が日本酒としてはそこそこの値段ですので、さらに拘ったお酒をを目指してほしいと思いました。

伝統と革新を兼ね備える、銀座の街の誇り

森氏:
誰もが憧れ、世界中から人が集う銀座の象徴として、和光様は約75年に渡り愛されて続けています。時代を越えて顧客満足を追求する中で、どのようなことを意識されてきたのでしょうか。

安達氏:
小売業に長く関わる中で、「嘘をつかず正しい商売をする」という価値観を大切にしてきたのだと思います。
また、そのとき売れるものだけではなく、継続して育て提供てきたものと新しいものを両方しっかりと提供していくこと。これが銀座における商売の真髄だと思います。

伝統というのは単に同じことをやり続けるものではなく、従来のやり方に新しいエッセンスを少しずつ入れながら次の時代に繋げていくものだと思うんですね。心のどこかで過去に固執しているようでは成長は得られないと思いますし、そういった企業は生き残れないと思っています。

ですので、その時代に合うものをまず受け入れてみるとよいと思います。街を訪れる人たちの感性に合うものが残り、合わないものが自然に消えていくというのが、銀座という街の一つの矜持であり、持っている力だと私は感じます。

森:
銀座において長年愛され続ける店舗は、歴史と変化を共存させ、洗練されたお店のみが残っていく印象です。何か共通点はあるのでしょうか。

安達氏:
和光では文化の提案も商品提案と併せて行っています。伝統工芸品や絵画等も提供しています。その中で感じることですが、私たちのような販売担当と作品を造られる先生に共通して言えるのは、お客様の声をよく聞いている、ということではないかと思います。

販売員は、お客様に何度も質問を重ねながらニーズを深堀りし、自分が持っている知識や情報でお答えすることが常に求められます。作家の方々も、誰もが自分やその作品についての自負は持っていると思いますが、他の先生の作品にも関心を示して「比較したときに自分はどうなのか?」という戒めを持ちながらチャレンジする方もたくさんいらっしゃると感じます。そこから更に成長されているように感じています。

見聞きした情報を自分の中で落とし込んで生かすことが、銀座で商売をする者としての品格であり、共通する大きなポイントだと考えます。

新時代でも揺らがないブランドの品格

森:
感染症による入国制限が緩和されます。銀座の街もまた盛り上がってくるのではないでしょうか。

安達氏:
今は期待と不安が入り交じっています。もし海外のお客様たちがある日突然来なくなってしまったら、という危機感はコロナ禍になる前から持っていました。そして実際にそれが起きてしまった。この2年間は、苦しい状況下で何とかルートを開拓しなくてはという思いで耐え抜いてきました。利益を出して、顧客満足度を高め続けることこそが私たち企業の使命だからです。

ネット販売に舵を切った企業も多数ありますが、このご時世でリアルの販売が厳しいというだけで始めた企業は、苦戦していると聞きます。いくら店舗に出向かなくてよいといっても、ネット上の情報からその商品のロイヤリティが伝わらなければ、お客様は購入されないですからね。ブランディングは決して簡単ではありませんが、どの商売であっても忘れてはならないことです。それはネットビジネスを行う上でも同様です。

森:
インターネットにおいても品格を無視できない時代だと思います。

安達氏:
この厳しい時代でも、その中で何とか工夫をして繋げていく努力が伝わった企業が残り、それがブランドになり、品格が出てくるのだと思っています。

森:
ブランディングといえば、銀座四丁目交差点のショーウィンドウの中身も定期的に変わりますよね。何か意識されていることはあるのでしょうか。

安達氏:
季節感やイベントを意識しながら変えています。ですが、あのウィンドウは商品のPR目的というより、銀座へ来るすべての人がほっとできるような、おもてなしの空間というコンセプトで設けているんです。私たちはその展示品を売らなくてはいけない立場ではありますが、それ以上に、おもてなしの雰囲気が銀座全体に広がってほしいという思いで続けています。

森:
仰る通り、あの空間に立つと、「ああ銀座に来たな」と感じられます。

安達氏:
このおもてなしのマインドは今後も大切にしていきたいですね。それに、商品をとにかく売りたいという思いばかり先行すると、かえって逆効果となってしまうこともあります。

私の経験上、商品をもっとも簡単に売りたいのであれば、とにかく他の店より価格を安くすることです。ただ値段を下げることで、どうしても販売スタッフのレベルや品質の劣化は免れません。よい商品には、職人の熟練した技や、産地に根ざした良い素材が必ず備わっているからです。ビジネスは、”安かろう悪かろう”ではなく、適正な価格と適正な利益があってこそはじめて成り立つのだと思います。


接客の力で感動の買い物体験を

森:
銀座には三越やGINZA SIXなど有名百貨店が連なっており、競争は今後も激化していくと思います。これからの時代を生き残っていくためには、何が必要だとお考えですか。

安達氏:
第一に、接客を行う人材の力だと思います。先ほど申し上げたようなヒアリング力や、適切なプレゼンテーションができる知識を磨いていかないと、どのお店で話しても同じだと思われてしまいますからね。森さんがいるからそのお店でSAKE DRESSを買う、そして「次は何を買おう」「このお酒はどうやって誕生したのか今度聞いてみよう」という気持ちが自然と沸きあがれば、買い物が楽しくなると思いませんか。

森:
あらかじめ買う物を決めていなくても、一連の会話の中で、楽しい買い物体験が生まれるということでしょうか。

安達氏:
その通りです。それだけでなく、店内を見て回ってそのまま何も買わずに帰ってしまう人のインサイトにも目を向けています。品揃えや接客の課題など、買わなかった人にこそ学ぶべき点がある、というマインドが三越の商売の原点だとも言われています。

森:
そのようなことを1人1人が考えて行動し、アウトプットし続けているからこそ選ばれる集団になったのですね。今後、私達の飲料業界のみならず様々な分野において、外資系企業との競争が広がると思いますが、日本企業の強みはどのあたりになるのでしょうか。

安達氏:
物作りに対して真剣に努力する、絶対に手を抜かない、という日本人らしい姿勢ではないかと思います。これは作家の先生を見ていても感じることですし、今の酒造りにもそういった日本人らしさが活かされていると感じます。

森:
それを聞いて安心しました。というのも、日本酒は本当に1秒、1℃といった単位で試行錯誤をしています。これは手先が器用で勤勉な日本人の国民性があってこそうまれた「伝統的なものづくり」であり、私たちSAKE DRESSは、今後もその技術を日本酒ブランドの真髄として前進していこうと考えております。その考えは間違っていなかったのだと、自信が芽生えました。

作り手と売り手が生む、数値以上の価値

安達氏:
これまでお話ししてきたように、流行を受け入れては淘汰されるという現象は銀座の街でも起こります。これからの商売では、受け入れると同時に次の顧客満足を研究する根気強さが肝になるのではないかと思いますね。

小売の世界はどうしても数字が切っても切り離せないのですが、私はその数字の裏にある職人魂の部分に目を向けるようにしています。数値の上でどれだけよい結果が出たとしても、バックグラウンドを理解していなくては意味がないからです。

森:
心に響くメッセージをありがとうございます。作る側と売る側の相互理解を深められた商品は、強さを兼備えた商品と思います。

安達氏:
まさにそうですね。どうしてこのお酒を造ったのか、というところを作り手が言語化できていないと、売り手も自信を持って販売できません。今は酒蔵から直接お客様にお届けするネット販売も増えていますが、小売業に携わる私たちは、そこで生じるネットならではの課題を解決する術を知っています。その小売としての強みを作り手や消費者に伝えていかないと、店舗販売が必要とされなくなってしまう。

森:
私達も銀座の百貨店様や築地にある老舗料亭様とご一緒させて頂いておりますが、相乗効果を生み出せるような関係性でありたいと考えています。

安達氏:
そうですね。今おっしゃったように、両軸で成長させるためにも、一層深いコミュニケーションを取っていければと思います。相乗効果というと、お酒と料理にも通じるものがありますね。私自身は食べることが大好きで、料理がおいしいお店を開拓するうち、お酒との食べ合わせの重要性を感じるようになりました。ですので、森さんに先ほどしていただいた、SAKE DRESSは牛肉やチーズに合うといったプレゼンテーションも嬉しかったです。牛肉には赤ワインというイメージが強いと思いますので、それが日本酒でも堪能できるというのはセールスポイントですね。

森:
非常に光栄です。普段はワインやシャンパンを愉しまれる方や日本酒に詳しくない方も、SAKE DRESSをきっかけに日本酒の世界を広げて頂きたいと考えております。本日は貴重なお話ありがとうございました。

最後に

洗練された街、銀座。誰もが憧れる、銀座。この対談を通じて、期待値の高いお客様を満足させることの出来る姿勢や思想を知ることが出来た。「お客様のニーズを知る」「ものづくりに手を抜かない」「造り手と小売の関係性」と、頭では理解しているものの追求することが難しい部分。しかし積み重ねることで、一流とそれ以外の大きな差となって表れる。

SAKE DRESSは世界中に愛される日本酒ブランドを志し、品質をはじめ日本酒体験において絶対の自信を持っているが、ここで立ち止まるのではなく、銀座和光の元会長の金言を行動に移し替えていくことで、志を具現化したいと思える時間となった。